親権は一般に母親に設定されることが多いといわれます。これは、特に自立的な判断の期待が難しい幼少期の子どもに言えることで、子の養育には母親の存在が大切であるといった観念から導き出されるものです。
つまり親権者は子の福祉にとっていずれの親がふさわしいかといった点から決められるものなので、基本的に、兄弟姉妹ごとに親権者が異なることにはなりにくいのです。
もっとも、子の福祉を一般論から一くくりにして考えることは、兄弟姉妹それぞれの個性や両親との特殊な関係性を無視することになり、かえって子の福祉を害することになります。
したがって、一人の親が兄弟姉妹全員に対して親権を持つことを基本としつつも、子ども一人一人の個性を無視することなく、実施的に判断することが大切になるといえます。